Lilienthal

 ゲルマン的メランコリーを漂わせたバンド。ドイツの古謡やバラッドに加え、中世~ルネッサンス音楽のエッセンスをも漂わせる良質のアルバムを残している。


’76年ゲッティンゲンで結成、翌77年にトラッド系専門レーベルFOLK FREAKの第一号リリースとしてデビューアルバム"Lieder und Taenze"を発表する。「歌曲と舞曲」という身もフタも無いタイトルはともかく女性シンガー、アネッテ・シュヴァクマイヤーの澄んだ声は魅力的であり、他の4人のメンバーもギター、フィドル等スタンダードな楽器のほか、それぞれクルムホルン(角笛)、ツィター、ブズーキ、ハープといった古楽器、民族楽器をとっかえひっかえ演奏し、楽曲はなかなかヴァラエティに富む。ベーシストの骨太なグルーブが曲を聴きやすいものにしており、なによりリリシズム溢れる楽曲がいかにもドイツという感じ。スサート、ノイジードラーなど、中世~ルネッサンス期の作曲家の作品も取り上げており、クルムホルンなどの古楽器をフィーチュアしたアンサンブルもやっている。
本作はまた「キング・ユーロトラッドコレクション」の一枚として日本盤が出た。


 翌78年セカンド「Drei Winter, vier Sommer」をリリース。ヴォーカルが代わって
クリスティーネ・シュミットという人になっているが前任者と甲乙つけ難い良い声である。基本路線は変わっていないがアレンジはより繊細でキレイになり、哀愁度もアップしている。古楽コーナーもまたやっているがコラン・ミュゼの曲などまさにドイツの秋の夕暮れ、といった風情が漂いまくっていてよい。また、エレキベースを導入してよりメリハリのある曲作りになっている(しかしこのベーシストが弾いてるのが、ボディがレスポール型でネックがギター並みの超ショートスケールというナゾのベースなんである。なんでしょうこれ。ブランドはグレッチみたいなんだけど)。完成度、キレイ度ともに1stを上回った名盤といえよう。



 その後女性シンガーはまた脱退。仕方なしに野郎のみで'79年サード「Jetzt ist Zeit
und freude da」を制作。「今こそ喜びのとき」というタイトルは強がりにしか思えないが、内容もちょっと精彩を欠く。昔に人から借りて聴いただけで内容はよく覚えていないが、ダビングもしないで返したところを見るとやはり前2作とはかなり違ってつまんなかったらしい。


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