12 juin 2005

...E risalire il tempo / Alunni Del Sole

 決してプログレではないけれど、プログレ心を衝く抒情と哀愁に満ちたレコードを作っていた70年代イタリアの浪漫派バンド、アルンニ・デル・ソーレ。プログレ至上主義者だった10代から、ジャズだブラジルだと言っている今に至っても、このバンドはわたしのなかではぜんぜんダサくならない。何でかなと思って分析してみたところ、わたしは画期的な発見をしました。すごいぞ。日本でコレに気が付いたのは多分オレが初めてだぞ。いいか、一度しかいわないからメモの用意をしろよ。
 それは、「アルンニの曲は大貫妙子に似ている」ということです。ピアニスティックな曲調とコード感、いかにもヨーロピアンなアレンジ。やけにアルンニがいつまでも好きだと思ったらそれはわたしが大貫さんのファンだったからであります。
 あとカルトーラとかパウリーニョ・ダヴィオラとかのクサめのおやじ系哀愁サンバに通じるものもあることも気づきました。もちろんリズムやアレンジなんかはまったく違いますが、ラテンの歌心というのは国を超えて根っこでつながっているのかもしれません。

 この2枚組み新録は、80年代以降音沙汰なく忘れ去られていた彼ら(といってもパオロ(vo)&ブルーノ(gt)のモレルリ兄弟)が若手をバックに、過去の名曲の数々の再録音13曲と、そしてなんとなんと新曲11曲!!をレコーディングしたものです。いやもう泣けます

 デビュー初期、他人と共作してたころの曲の、いくらアレンジしても抜けないクサさに「ハハハ、このオヤジども、しょーもねー」と笑っているのもつかの間、「E mi manchi tanto」「Un' altra poesia」そして怒涛の「Liu」といった大名曲が新たな演奏でだっぱんどっぱんと容赦なく押し寄せ、たちまち眼がイタリア汁でうるうるして参ります。声はさすがに衰えを隠せませんが、どれも「この曲はオレの中で35年間ずっとこういう風に流れ続けていたんだ、オリャー!」というパオロの気迫に満ちたアレンジと演奏で、懐メロ歌って一儲けなんて安直さは微塵もないどころか、若いころの自分をねじ伏せて超越しようというオヤジの鬼気迫る意地を感じさせます。自分の曲に対する深い愛情と芸人魂、単なる楽曲以上ににじみ出てくるそんなものがわたしたちの心を鷲掴みにします。

新曲は更なる追い討ちをかけます。昔のアルンニのロマンチズムをそのままに、さらに哀愁度をパワーアップさせ、クオリティもアレンジも数段洗練された曲の数々。そしてCD1ではときどきヨレていたパオロの声も新曲ではなぜか昔のようなパワーを感じさせます。どうしたんでしょう、なんかすごい薬でも飲んだんでしょうか。「こんないい曲たくさんあるんならどうしていままで黙ってたんだオヤジ・・・」とこぶしを握り締めてフルエルわたくしでありました。
 若手のバックバンドの演奏も切れ味がよく、昔のストリングスオーケストラを代用するシンセのアンサンブル(大半が手弾きと思われ)も重厚で、もうイタリアの裏通りの石畳です。

 遠い昔にナポリの裏街に男たちがひっそりと丹精して咲かせたバラの花、日々は過ぎ人は去り、バラは枯れて打ち棄てられたかに見えましたが、あの男たちが30年余の月日を越えて戻ってきて、いま再びバラを咲かせました。わたしたちはこの香りを二度と忘れることはないでしょう。

(過去のオリジナルアルバムはほとんどCD化されていないのですが、最高作トータルアルバム「Jenny e la bambola」, けだるいロマンチズムに溢れた「La maschere infuocate」などのコテコテイタリアーノな名作はおすすめです)
 
 このアルバムに合わせてやたら地味なウェブサイト非公式に開設。なんとツアーにも出るらしい。

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