Chico Pinheiro / same



 一昨年デビューアルバム「Meia-noite, meio-dia」でブラジル者もジャズ者をも席巻しまくった若手ギタリスト、満を持しての新譜です、ジャーンジャーンジャーン(←ドラの音)

セルフタイトルとしていることからも伺える通り、「そろそろ本気出すからよ、びびんなよ」という彼の意気込みが感じられる内容であり、あの1stすら彼の実力を容れる器としては十分ではなかったのだというおそろしい事実を思い知らされます。

まず、ギター。とりわけアルバムの前半は前作よりもよりコード進行が複雑な曲調の作品が並び、ジャジーなアレンジの中で縦横無尽に弾きまくっています。

そして歌。今回初めて、数曲で彼自身がヴォーカルをとっています。1曲目はいきなりジョアン・ボスコが乱入しててたまげますが、シコのヴォイスは線の細い繊細な味わいがあり、美しい楽曲によくあっています。

ゲストシンガーは前作に続いてLuciana Alves。いや、この人の声はほんっとうにいい。ときに繊細に、ときに官能的に歌い上げるヴォイスは、そのためだけにこのアルバムを買う価値があるといっても過言ではない。

ジャジーな前半に対し、後半は1stの流れを汲む、スリリングなリズムセクションに乗せて疾走するナンバーが目立ちます。その他ストリングスをバックにガットギターを爪弾く哀切のインストなど、1stのおいしい部分は余さず継承されていて期待を裏切りません。

今年No1候補。ブラジル者もジャズ者も迷わず聴いて成仏せい。

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