14 octobre 2005

Bass and bosses / Pierre Michelot (1928 - 2005)

 ピエール・ミシュロ(ba)は、仏産ジャズのCDをテキトーに10枚引っ掴んでみると4枚ぐらいでベース弾いてる(てきとう)というぐらいのみならず、参るス・デイヴィス「死刑台のエレベーター」、チェット・ベイカーの「In Paris」シリーズ、デクスター・ゴードン「Our man in Paris」などの、アメリカのビッグネームのパリ録音でも永遠の名を刻んだフレンチジャズ界の重鎮であります。(デクスターが主演したジャズ映画「ラウンド・ミッドナイト」にも出演してます)

 そんな彼が、今年7月、77歳で逝去したことを最近知り、追悼の意を込めてここにご紹介するのは、’89年に録音したリーダーアルバムです。20代のわたしがはじめてヨーロッパのジャズというものの美意識に触れて衝撃を受けた、印象深い一枚でもあります。


 リーダーアルバムといっても、ベースはあくまでバッキングに徹し、まさに燻し銀というにふさわしいプレイ。フロントで絡み合いつつむせび泣くはトゥーツ・シールマンス(harmonica)とピエール・ブランシャール(violin)。この尋常ならぬ編成からして十分ヨーロッパ的ですが、曲調も各人のアドリブプレイももうことごとく翳りと憂いに満ち満ちており、録音された12月のパリの、雨の冷たさや建物のカビくささが伝わってくるような陰鬱なアンビエンスが感じられるアルバムです。とりわけブランシャールのプレイは、ジャズヴァイオリンと言ってもグラッペリあたりとはだいぶ雰囲気の違う、引き摺るようなブルーズが薫り、陰鬱好きにはたまりません。


 ピアノはモーリス・ヴァンデ。息子のクリスチャンはドラマーになったもののグレてしまい、宇宙人(コバイア星人)を名乗ってカルトプログレバンド「マグマ」を結成しカリスマとなったのは有名です。ていうか、親父フランス人じゃん。宇宙人のくせに。


 今頃は天国でマイルスやチェットやデクスターと再会し、「ヘイ、おめえも来たかメーン」とか言われて歓迎され、セッションをおっぱじめていることでしょう。

 合掌。

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