Green Shading Into Blue / Arild Andersen Quartet

 ふとふりさけ見れば春日なる、このブログの前身は「Groove disque review」といいう名前でナゾの国のナゾな音楽のことを語って世間から華麗に黙殺されるという趣旨だったのですが、最近ぜんぜんディスクレヴュウなどというものを書いちゃいませんでした。いま思い出したのでまたぼちぼち書いていこうと思います。

 わたしみたいなプログレ者にやたら人気で気の毒なノルウェーのベーシストArild Andersenですが、わたしが学生のときはじめて買ったのがこのアルバム。時は昭和の御世、中古屋で手にして、まずジャケ見ただけで88%購入決定。ECMというレーベルは当時パットメセニーで知っていただけだけど、なんせ本社はオスロだ。きっと哀愁のヨーロッパでウォーターカラーとかサンロレンツォみたいなのに違いない、と決め付けて残りの12%決定。
 聴いてみたらわたしのプログレのツボ、欧州のツボ直撃でした。当時知っていたジャズの全く違ったコード感やメロディはジャケ写そのまま。とくに、翳りに満ちた旋律を紡ぎときにプログレ度高いシンセを弾くピアニストがいいと思いました。わりとロック的なリズムアレンジも親しみやすい。
 当時ジャズを聴き始めたばかりのわたしは、ヨーロッパの空気が詰まった音楽がプログレやトラッド以外にもあることに衝撃を受け、スイングジャーナルの輸入盤レヴューなどでふむふむと勉強を始めたものでした(あのころ今みたいにネットで世界中の音楽がほいほい聴けたらなあとおもう)。

 あれから幾星霜、Arildのその後あまたのアルバム、そしてECMのどんより系アーティストあれこれにますます魅せられ続けているわたし、その一方で某筋のお導きによりラーシュ・ヤンソンを知って喜んで聴いている今日この頃、ひさびさにこのアルバムを手にとって見たところハッと息を呑みました。
 このアルバムで当時プログレメロウ青年を魅了したピアノ&シンセを弾いていたのは誰あろう、ラーシュ・ヤンソンその人であった!いやー驚いた。あっちじゃ「鈴木孝」ぐらいのよくある名前だからぜんぜん印象に残らなかったから(鈴木孝さん見てたらごめんなさい)。

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