9 février 2016

2002 冬のフランス Day8 - 9

DAY8  ランジェまで Tours-Langeais 61km くもりのち雨 風強し 

 体力は充電されたものの昨夜調子に乗って飲みすぎ少しツライ(←ばか)。
 風が強い。郊外の住宅地を抜けるとあたりは一面の畑と牧草地。さえぎるものの何もない中、風が真正面から吹き付けてくる。平坦地なら普通20キロ以上で走れるのに12、3キロしか出ない。10kmほどそんなクルシミが続いたあと川沿いの道に入ってやれやれと思っていると今度は雨も降ってきた。静かで気持のいい道だが雨と風で気分もゲンナリである。

 途中、川向こうのサシェという町に立ち寄る。かのバルザックがたびたびこの町の屋敷に滞在し「谷間の百合」はじめ数々の作品を執筆したというゆかりの地である。ほんとうに谷に面したこの館を見学しようかと思ったが「昼休みのため閉館」ということだった。けしからん。この町は他にも教会や宿屋などくすんだ建物が残り、小さいながら風情のあるところであった。

バルザックの館


 川沿いの道に戻ってアゼイ・ル・リドーへ。ここもフォトジェニックな城がある小さな町だ。当初はここから20数キロ先のシノンまでいくつもりであったがいよいよ強くなる風雨にめげてここに泊まってしまおうかとも思った。しかしオフシーズンとあって殆どのホテルは休業中、それだけならまだしも商店も軒並み閉まっている。フランスって日曜だけじゃなく月曜もどこも休みだったんだ。土曜に営業するんだからという理屈だろうがひどいじゃないか、フランス人、もっと働け。

 これじゃいくらなんでも一夜を過ごすにはしょぼ過ぎる。ではどうしようかと悩んだ末方向を変えて9キロ北のランジェまで行こうと決心。やや大きな町だから何とかなるだろうと風雨をついてこぎまくる。
 ヨレヨレのビショビショになってランジェ着。宿探すのもめんどくさいのでツーリストオフィスに行ってとってもらうことにする。中にいたのはショートカットの似合う華奢な感じのかわいい女の子で、こぼれるような笑顔で愛想よくかつ怜悧な感じでわたしの風雨に凍えた心を解凍した。彼女がニコヤカに手配してくれた宿は値段の割にはパッとしない部屋であったが、まあそんな些細なことは乙女の可愛さに免じて全く問題ないと満場一致で可決し、シードルをあおったのであった。


DAY 9 ランジェ~シノン Langeais-Chinon 39km 強い風雨 

 引き続き雨。荷造りして出発する足どりも重い。15世紀築のランジェ城は優美な佇まいであるがこの天気ではゆっくり味わう気も起こらず、テキトーに写真だけとってランジェを後にする。さらばだツーリストオフィスの乙女。オレを止めないでくれ (止めてない)。

雨にけぶるランジェ城

 しばらくロワール川沿いの堤防の上を走っていく。雨と風はさらに強くなり、まわりに何もない吹きさらしの道のためさらにツライ。心の中でフランスの天気とフランス人を呪いつつペダルを踏む。特に理由もなく八つ当たりされるフランス人もいい迷惑である。

 リニ・ユッセからは南を平行して流れるアンドル川に沿った道に入る。15世紀築のユッセ城があり、これも美しい外観。がらんとしたリニ・ユッセの町もシーズンオフの観光地特有の侘しさが漂う。

 アンドル川沿いの道は片方が崖になっており、少しは風の当りも弱くなる。しかし風か雨どっちかだけならまだいい。両方いっぺんに来られるとかなり気がめいる。水たまりの水面にさざなみが立つほどの風。

 ユイスムの町まで来ればシノンまでは10キロ足らず。しかしここからがふたたび吹きさらしの畑の中の一本道、おまけにゆるゆると登り坂。風は真正面から吹いてくる。リキ入れて漕いでも10キロを切るスピードしか出ない。

 ようやくシノン着。今日の行程は40キロもないので楽勝だと思っていたが昨日より疲れた。

 市街の静かな一角にある、古い館のような瀟洒な作りのホテルに投宿。冬のこんな日では客もいないのだろう。歓待された上にいい部屋を安くしてくれた。案内された部屋は年代を感じさせる太い梁が天井に張り巡らされ、壁は石造り、いにしえの宿屋の風情が香る室内はシックな内装で、何やら十八世紀あたりのフランス小説の登場人物のような気分。辛かった一日から一転してデカダン貴族化し、大きなバスタブに熱い湯をはり冷えた手足を伸ばす。極楽極楽。
Hotel Diderot

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