Blues sur Seine / RICHARD GALLIANO & JEAN-CHARLES CAPON

ええわ~。

孤高のジャズ・アコーディオン奏者’92作はチェロとのデュオ。編成からしてジャズの常軌を逸してるが、これがもうジャンルの境界を越えた、この上なくフランス的なエスプリと優美さを体現した音なんである。

 ガリアーノ作の超ブルージーな一曲目ですでにヘロヘロになるが、他の曲ももうどうしようもなくおフランスなアレンジとフレージングで圧倒する。ビル・エヴァンスの「ワルツ・フォー・デビー」の巴里化加減を聴いて身を捩れ。

 共演のチェリストはチェロという楽器のイメージを覆すような、引き摺るようなブルージーな泣きのフレーズを連発し、ガリアーノも普段とは一味違ったむせび泣き型フレーズを多用して応酬する。「オシャレ」と呼ぶにはあまりにも哀切と頽廃に満ちており、例えるならば2月のパリのあのどんより曇った寒い午後の陰鬱といったところか。聴くがいい、そしてむせび泣くがいい(伊○政則風).

余談だが以前パリに行った際、その名も「Paris Accordeon」というアコーディオン専門店を見つけた。フツーの蛇腹のほかに、シンセの鍵盤の代わりにボタンアコーディオンのあのボタンがずらりと並んだMIDIコントローラーがあった。意味がよくわからなかったが、フランスにおけるアコーディオンのポピュラリティを見る思いがした。

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