大貫妙子@米沢

ジョアン・ジルベルト、チェット・ベイカーと並んでわたしの三大現人神である大貫妙子さまが畏れ多くも米沢に光臨あそばすというので参拝に出かけた。米沢までは今月から増便された高速バスで行ってみた。クルマでは行きなれた街もたまにバスでいくと思わぬ旅気分である。所用2時間余。 

 米沢ラーメンで腹ごしらえののち上杉公園わきの「伝国の杜」へ。今回のライヴはピアノ+コンバス+弦楽四重奏という、かつての名作セルフカヴァー「ピュア・アコースティック」の編成。前回東京で見たときと同じくステージ上のテーブルには赤いバラの生花が。モノトーンのステージにあってキリリと映える。わたしもかつて自分のライブでマネしようと思い、しかし予算の関係からシクラメンの鉢植えを置いてみたことがあるが、やはりバラじゃないとダメです。 

 前から4列目の席のわたしの至近距離に大貫様光臨。ありがたや、あの声。立ち姿がまことに美しい人だ。。「黒のクレール」にはじまり「ピュア~」の曲を中心に胸を抉るあの曲この曲。フェビアン・レザ・パネのピアノのタッチも繊細でよい。繊細さにおいて「モレ+坂」の坂本龍一を凌ぐ感すらある。その坂本教授の「TANGO」も白眉の出来であった。「アレはやらないのか、アレはまだか」と悶絶していたらアンコールの最後でやりました「突然の贈りもの」。昇天。果てました。わたしのこの1年はあの1曲ですべて救済された。カタルシス。 

 すっかり魂が洗浄されたのち、ホテルにて酒を酌む。メロウな街米沢のメロウな宵であった。  

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