Optimism / Gangway

  デンマークのバンド、ギャングウェイは、84年のデビューアルバムはじめ活動前半のネオアコ調サウンドが評価が高いのですが(わたしがはじめて聴いたのも1stの怒涛の名曲「Everything we've ever had」でした)、しかし後期にエレクトロポップユニットに転身してのアルバム、とりわけ93年の「Happy ever after」、そしてこの94年作「Optimism」はさらにわたしにとって心に染み入るものがあります。



 ネオアコ時代から、キャッチーかつ深みのある美しいメロディーを繰り出すバンドでしたが、このアルバムではさらに輪をかけてキャッチーな楽曲が並んでいます。

 しかしものすごくキャッチーでありながら、テンションノートや分数コードを多用したアレンジは単なるポップスを超越しており、ストリングス系シンセの暖かい響きは北欧の冬に燈る暖炉の火のような温かみを感じさせます。と、ここまで書いたらわたしが何をいいたいかお解りですね。

そう、ポップなのに、プログレぽい。

 感情を抑えた、クールで内省的、ちょっと屈折した歌詞も独特の世界で、この深みのある音に乗せて歌われると、「幸福な夢から目覚めてみるとたった一人で、窓の外は一面の暗鬱な雪景色」みたいな、突き抜けた虚無や寂寥が胸に迫ります。

「今じゃ僕は一人で暮らしてる / 街に近い、2部屋のフラットを借りて / ちょっと寒いけど、とっても安いんだ / たぶん僕は元気でやってけると思う / 少なくとも冬が来るまではね / それじゃ さよなら 花柄のカーテン / 結局好きになれなかったな / おかえり シカモア・サンデー / ちょっと お茶でも 買ってこようと思う」 (Sycamore Sunday 拙訳)

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