The Patchwork of Lost and Found / Jane Kelly Williams

 レベッカ・マーティンの話で引き合いに出したアメリカのシンガーソングライター、ジェーンケリー・ウィリアムズ。88年と89年にベルギーはクレプスキュール・レーベルから出した2枚のアルバムは、彼女のピュアなヴォイスをちょっとヨーロッパ的な繊細さと美しいメロディとコードで包んだ、春を思わせるアコースティック系癒しモンでした。
 わたしのセイシュンの思い出が染み付いていていまでもけっこう聴いては遠い目をしてます。でもアルバムはそれっきりとおもってました。



 で、最近「アノ人はいま」と思って検索してみたら・・・なんとウェブサイトがあり、今でも活動していることがわかりました。アルバムも95年と99年に二枚出してます。これは最新作(といっても6年前)。レーベルはインディーズですが。



 セイシュンの思い出のひとに再会したいあまりわたしは、米国のインディー盤専門ショップ・CD Babyから取り寄せました。
 1曲目、アコギのアルペジオに続いてあの天使系ヴォイスが歌い始めるとわたしはもう「うわああああ」といって5回転悶絶宙返りしました。15年ぶりですよ。なんか、学生のころ付き合ってた元カノに再会したらぜんぜんキレイで若いまんまだったような感じ。

 

 2曲目なんかはちょっとレベッカ・マーティンみたいなノンシャランな歌い方&きもちブルージーな曲調で、フォークお嬢だった昔にはなかった雰囲気なので、おお君も世のしがらみにもまれてきたのだなあとしみじみしますが、3曲目では昔と同じ清らな世界がどばーと溢れ、もうたまりません。



 全体を聴いた感じは2曲目の路線と昔の清純系が半々で、「なんか、けっこうフツーにポップ」。プロデュースが、スザンヌ・ヴェガやそしてワンス・ブルー(feat. レベッカ・マーティン)を手がけたスティーヴ・アダボということもあって、80年代のアルバムに満ちていたそこはかとない翳りみたいなのは薄めです。

 でも彼女のヴォイスと曲のよさは衰えるはずもなく、シンプルな弾き語り中心の曲でそれはよりはっきり感じられます。



 3枚目の「Tapping the wheel」はもはや入手困難なようですが、ウェブサイトでダウンロードできる2曲(じつはこっちのほうが4枚目より気に入ってる)を聴いた限りではより80年代のアルバムに近い感じで、こっちを聴きたくてまたも悶絶。



デビューアルバムのときにハタチだったといいますから彼女ももう38歳。結婚してんのかなとクレジットを見ると旦那はバンドのベーシストらしい。なんだこいつもベーシストかよ。オレもベースやればよかった。

 「旦那がベーシスト」仲間かなんか知りませんが、レベッカ・マーティンとはお友達のようで、最後の曲にレベッカがコーラスで参加してたりします。

 

 去年あたりからはライヴもぽつぽつで、主婦業が忙しいのかもしれませんけど、また心洗われるアルバムを作って欲しいものです。

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