Easy does it / Isabelle Antena


 ビッグバンドからアシッドジャズまで、いろんなことやらされてきた最近のアンテナさんですが、新譜はジャズボッサ集。

と いうと1985年の佳作「Hoping for love(邦題:「愛にエスポワール」(笑)うーん、そういう時代だったよなあ)」を思い出しますが、1曲目からそういう感じ、いいなあ。
ていうか、本人 もあのアルバムの続編を意識しているフシもあるようで、「エスポワール」(笑)に入っててイントロだけでフェイドアウトしてしまってた「Musique entre 4 et 6」という曲(タイトルも「4曲目と6曲目の間の曲」という投げやりなものだった)の続きを完成させてちゃんとした曲にして歌ってます。

選曲は ブラジルものもやってますが、この人の場合ガチガチ本場のボサノヴァではなく、ラウンジぽいテイストとか、少々インチキくさいラテンぽさなどが微妙にブレ ンドされてて、それに加えて英、仏、ポル語の歌詞もブリュッセルという街のコスモポリタンな風土の香りを感じさせます。

思えばわたしがボサノ ヴァというものをはじめて体験してのけぞったのは、ジョビンでもゲッツ=ジルベルトでもなく「エスポワール(笑)」の1曲目でした。(あの曲のカッコいい ピアノを弾いてたのはその後欧州ジャズシーンで名を成すDiederic Wisselsの無名時代)。
当時ウブな学生だったわたしがいまや立派な夢想家になり、アンテナさんも母になったり前夫に先立たれたりといろいろあったわ けで、お互い人生いろいろあったねえとしみじみするアルバムです。

ちなみにこのアルバムの曲をアシッドジャズ風にリミックスしたのがおまけについてますが、これは面白くなかった。

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