Ballando con Chet Baker / Fabio Concato


  なにかとイタリアづいている昨今のわたし、イタリアンポップスもいろいろ発掘を進めた一年でした。その中でもアタリだったのがこの人。

70年代からのベテランでオリジナルアルバムも13枚とかそこらあるのですが、その音楽性は大雑把に言えばイタリア製AOR。ジャジイなコード使いや温か みのあるアレンジはランディ・グッドラムを思い出しました。ですが、あらゆるところに米英の音とまったく違なる、ヨーロッパ以外からは絶対出てこないラテ ン系コテコテロマンティズムの香りを感じ取ることが出来ます。
とりわけじわーっとくるオーケストレイション(生ありシンセあり)が、もうどうしようもなくドルチェでアモーレでパスタでラザーニアです。

活動前半のアルバムをずっとプロデュースしていたのがヴィンチェ・テンペラ(もとイル・ヴォーロ)、他のアルバムもフラヴィオ・プレモリ(PFM)、マウリツィオ・ファブリツィオなどが手がけてきたと聞けばプログレ者もピクリと反応したくなるかも。

この01年のアルバムは今のところ(未だ)最新のスタジオ盤。それまでの作品に時折感じられた胸焼けするようなクサさや甘さが抑えられ、枯れた味わいのカッコいい曲が連なる名盤です。

何よりも、歌い方がこれまでと違っていきなり囁くような呟くような、やらしい感じが大部分となっていること。全体の雰囲気もそんな感じの音作りで、中年男のさわやかなやらしさを表現しています。
チェット・ベイカーはタイトル曲の歌詞にネタにされてるだけで、音とは直接関係ないのですが(タイトルは「CBの曲に合わせてスウィング」ぐらいの意か。

ラストでジョビンの「Wave」をやってますが、ジョアン・ジルベルトの歌い方のモノマネしたいいが、タダの下手なやつになってしまっているのはちょっと悪ノリしすぎで減点。

その他のアルバムは、これの前の「Fabio Contato」(2ndもセルフタイトルで同じなので注意)がややドルチェながら同系統でいいのと、V.テンペラ最後のprod.にしてキーボードでも 全面参加の「In viaggio」もよいです。
 プレモリがらみの「Blu」はといえば、半分の曲はイタリア浪漫ど真ん中ですばらしいのですがあと半分が取ってつけたように 売れ線くさくて微妙なアルバム。

ちょっと飛躍しすぎかもしれませんが、大貫妙子さまのファンにお勧め。そんな木枯し系欧州テイストです。

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