Kuara - Psalms And Folk Songs / Markku Ounaskari, Samuli Mikkonen, Per Jorgensen

 
 トラッドとジャズの融合というのは北欧においてもはやひとつのジャンルといってもよいぐらいですが、これはまたいかにもECMらしい作品。

 現在はロシア領内のフィンランド語文化圏(カレリア、ウドムルト、ヴェプス)に伝わる古謡や賛美歌をモチーフに、ピアノ、dr/per、tp/voiceのトリオで、残響が静寂のなかを虚空に立ち昇っていくかのようなイマジネイティヴな響きを聴かせます。
 単純なモチーフを基に、無音の中に手さぐりでうつくしい響きを置いてハーモニーを探っていくかのような作業とでもいいませうか。

 スカンジナヴィアの音楽に比べるとさらに広漠とした未知の光景に連れて行ってくれます(ジャケの写真も秀逸)。
 むかしフィン/ロシア国境沿いのなんにもないところを自転車で旅した時に見た果てしなく広がる森と静かで神秘的な空気感を思い出しました。

 GoogleEarthで、カレリア共和国(フィンランド国境の右側)のあたりを見ながら聴くと広漠感がUpしますよ。冬の東北の風景にもぴったし。



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