The Sesjun Radio Shows / Chet Baker

 オランダで1973年から2004年までオンエアされていた長寿スタジオライヴ番組「Tros Sesjun」。 これまで未発表だった膨大なお宝録音の中からCD化第一弾がチェットです。

 ブートも含めて様々な彼の演奏を集めてきたわたしのようなチェットフリークもおおっと驚く内容の2枚組。

① ジャック・ペルゼ(fl)との二管ドラムレス編成(1976)。薬剤師でもあり片手間に薬局も営んでいたペルゼの家に当時チェットは居候(ドラッグ入手面でも便利だったのでしょう)、活動を共にしていましたが、この時期の音源は(わたしの知る限り)ほとんど入手できなかったため貴重。

② ヴィブラフォンのヴォルフガング・ラッカーシュミット+ba+dr(1980)。スタジオ盤の共演作は2枚あるものの、ライヴ音源は初CD化じゃないか。単音同士が茫漠たる音空間の中で邂逅するアンビエンス。

③ 個人的にチェットの共演ピアニストの中でいちばん好きなミシェル・グレイエとのカルテット(1984)。2曲しか収録されていないのがくやしくてあばれたくなる。

④ 晩年にもっとも名演の数々を残し、かつ安定していた、フィリップ・カテリーン(Gt)とジャンルイ・ラサンフォッス(ba)のトリオ(1985)。

2枚組の大盛ディスクですが、各セッションの音源は1時間づつあるはずなわけで、全部全曲収録BOXとかにしてくれればいいのに、とチェットファンは全員悶絶せざるをえないでしょう。

(このシリーズはその後、ビル・エヴァンスとアートブレイキー&ジャズメッセンジャーズの音源がリリースされています)

まめ知識; 
・J.ペルゼの家にはチェットの部屋があり、死ぬまでときどき戻っては居候していた。
・ペルゼの娘はミシェル・グレイエの奥さんになった。でものちにチェットと駆け落ち。
  ソース:伝記「終わりなき闇 / チェット・ベイカーのすべて」

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