Harmonium

  70年代に4枚のアルバム(1枚はライヴ)を残した、カナダの仏語圏ケベック州のバンド。
 最近海外のコード譜サイトにこのバンドのほとんどすべての曲があることに驚き、さらにいろいろ検索してみると、YouTubeにもライヴ動画やら奏法解説 動画、カヴァーバンドのライヴまであったりして、本国では今なおケベックの音楽シーンに大きな足跡を残した大物として支持されている模様。
 初期のアコースティックなフォーク・ロック、後期の稠密な音ともに、適度なポップセンスとフランスぽい翳りが共存する洗練された曲造りはいまも古さを全く感じさせない。2ndとライヴ盤でのメロトロンの鳴りやシンフォニックなアレンジでプログレ者にも人気が高い。

 74年の1st「Harmonium」。オリジナルメンバー3人にドラマーとフルーティストが数曲で参加。楽曲はソフトロック調だが、洗練された曲作りはすでに完成の域に。



 これは当時シングルのB面でLP未収だった曲。その後20年以上を経てCD再発の際に初めて収録されたもの。



 75年のセカンド「Si on avait besoin d'une cinquième saison 」(= If we needed the fifth season)
キーボード奏者とフルーティストが正式メンバーで加わり、ドラマー抜きの編成だがよりプログレッシヴかつアコースティックで抒情的な音。メロトロン名盤としてプログレ者の間で名高い。


76年「L'heptade」は前作の4人に加えてフルーティスト、ドラマー、女性シンガー、もう一人のキーボーディストを加えた上にオーケストラまでフィーチュアした、空前のスケールの2枚組。楽曲はジャズ色をも加えてより深化している。


 このアルバムを引っさげたツアーを収録したのが、解散後の80年にリリースされたHarmonium En Tournée。スタジオ盤のオケのパートはキーボードで再現され、重厚なメロトロンとシンセの嵐に圧倒される。さらにはギターソロパートも付加されていたりでスタジオ盤より数段プログレッシヴ。 7分過ぎからのシンフォニックな展開にプログレ心が哭く。

バンドは78年に解散してしまうがその直前の米国ツアーのドキュメンタリーでは新曲を演奏しているのが聴ける(演奏は14:40ぐらいから。

  この楽曲は、解散後にメンバーのセルジュ・フィオリがケベックの有名フォークデュオ Le Seguins のリシャール・スガンと組んで制作した Fiori-Séguin名義でのアルバム 「Deux cents nuits à l'heure」に収録される。L'heptadeとツアーの参加メンバーが殆どそのままバックを務め、内容はというともうこれはアルモニウムをよりAORぽいアレンジでやったような「裏アルモニウム」というべき傑作。アルモニウムのファンにはぜひぜひお勧め。

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