Some things never change / Joel Remmel Trio

   メロウいち推しのエストニアの若手トリオ、破竹の3枚目です。
 「Some things never change」というタイトルは裏を返せば「Some things do change 」なんですよと言わんとするかのごとく、前二作の透明感やら整合感やらプログレ的構築美やらに満ちた作風にと比べるとちょっと趣が異なり、よりがっつんがっつんというか、ちょっとラディカルに攻めてる一面も。とくに5曲目とか、不協和音の多用と硬質な響きが新境地を感じさせますね。

アルバム1曲め。


 こちらは一昨年のライブですがこのアルバム用の曲が既にできていたわけで。こちらは「never change」な従来の作風か。


 かと思えばファーストアルバムに収録されていたこの曲をセルフカヴァーというか録音し直していたりして。原曲に比してブルージーに展開していく部分(スタジオ盤の話ね)が新境地か。


 そして7曲めは讃美歌(というか後半がしがしくっさいゴスペルになる)。ほほうと思いつつ本人による各曲のライナーを読めばかなりスピリチュアル系というかクリスチャン的な内容でなるほどそうですかと思う。過去のアルバムにも賛美歌的なボーカルをフィーチュアしたものもあったしね。
 締めはビル・エヴァンスのオリジナル曲「Turn out the stars」(編曲はドラムのアレクサンドラたん)。さらにクレジットにはないけれどそのあと某ブルーススタンダードがシークレットトラックとして収録されていたりして、その辺がネバーチェンジなとこなんですよと言うが如く幕を閉じます。

 まあこの新作は3作目にしてちょっといろいろ冒険してみたり振り返ってみたり、でもあれこれやってみても自分のキモはエヴァンス<ブルーズ、それと教会音楽でnever change っす、と立ち位置を確認といったところでしょうか。
 次のアルバムが真骨頂となる予感がいたします。

 とりあえず澤野工房から日本盤も出たことだし、山形でもM昭和にあるのでみなさん買って下さい(ほんとは1stか2ndから聴いたほうがいいけど)。これが売れたら来日するかもしれないでしょ。

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