Novalis 「蝶の笑い声を聴く者は」( Wer Schmetterlinge lachen hört ) 抄訳

蝶の笑い声を聴く者は
雲がどんな味がするか知っている者。
月光のなか、怖れに妨げられることなく
夜を見つけ出す者

望むときに草木に
獣に、道化に、賢者にも
変わることの出来る者は
一瞬のうちに世界中を旅することができる

己は知らざるということを、
同じくすべての他者もまた何も知らぬことを識る者は
しかしまた知っている。他者と同じく
自らも学ばねばならぬことを

自分の中に異郷の岸辺を感じ取る者
そして足を踏み出す勇気を持つ者は
そのうちに、怖れに妨げられることなく
自己を見つけだすことの出来る者

自身の内面から
頂を見つめ、昇りつめる者は
下なる世界*との戦いも
容易いものとなろう

蝶の笑い声を聴く者は
雲がどんな味がするか知っている者。
月光のなか、怖れに妨げられることなく
夜を見つけ出す者

平穏のうちに生きる者は
またそのように死するだろう
そして残された者すべてよりなお
生命に満ちてあるだろう

( Novalis (1971) 収録:作詞 Carlo Karges )

訳注
*Unterwelt:冥界の意だが、語義通り「under-world」で解釈しとく



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